急に気温がぐっと低くなって、着るものに困ってしまう。
暑さが続いていたせいか、身体もなかなかついていかない。

どうやら松茸にも、今年の暑さの影響が出ているようだ。「今年の夏は暑さが厳しく、雨も少なかったために出るのが遅れている」とニュースで報じていた。

数年前、長野県の友人に松茸狩りへ同行させてもらったことがある。
その山は友人の所有地なのだけれど、同郷の人は基本的に同行させないという。場所を知られてしまうと、無断で入られてしまう恐れがあるからだ。
その点、土地勘のない私は、そのような心配がないということで、ちゃっかり連れて行ってもらった。

山は急斜面もあったけれど、思っていたより歩きやすかった。友人は、シーズンオフにも山に入り、松茸が育ちやすいように手入れをしているそうだ。
松茸は、赤松が光合成で得た栄養分を松茸に分け与えているのだと教えてくれた。

「赤松の近くを探すんだよ。」

掘り方を教えるから、見つけたら声をかけてと言われ、必死に探した。しかし、なかなか見つからない。いや、見つけてもそれが松茸だと気づけなかったのだろう。ようやく見つけたと思っても、掘ってみると石ころだった。初めての松茸狩りは、予想以上に難しかった。
友人は、私が苦戦している間に、5〜6本くらい採っていた。

「もう少し探して見つからなかったら終わりにしようか。この辺りにあるかもしれないよ」

そう言われ、最後の望みをかけて、教えてもらったポイントを目を皿にして探した。

「あった! これじゃない?」

松茸は頭を出していなかったけれど、土の色がわずかに薄くなって盛り上がっている場所を見つけた。友人は「よく見つけたね」と言いながら、掘りおこす手本を見せてくれた。
土をやさしく払いながら掘っていくと、小さな松茸が顔を出した。

やった。自分で松茸を採った!
大きさなんてどうでもいい。採れたことが嬉しくて、思わず興奮してしまった。

山を降りて、友人宅で松茸バーベキュー。
人生で初めて自分で採った松茸は、香りも味も見事だった。

その時に友人のご家族が教えてくれたのだけど、どうやら、私が見つけられなかった時のために、前日に山に入って“採りやすい松茸”をあえて残しておいてくれたらしい。

それなのに、友人は「すごいね、よく見つけたね」と褒めてくれた。
だから私も、何も気づかないふりをして「そうなの、すごいでしょ!」と自慢した。

友人の優しさと、松茸の香りが、その日のお酒を格別なものにしてくれたことは言うまでもない。