母の健康診査に付き添った。

母は、身長の測定器にまっすぐ立つのがやっとだった。上から板が降りてきて頭にコツンと触れると、身長も体重も一瞬で計測が終わった。「もう終わったの?」と笑う母。その笑顔を見ながら、機械の進歩に感心した。

そして、子どもの頃のことを思い出した。

身長を測るときなどは、よくふざけたものだ。
頭の上に当てるあの板(なんていう名前なのかわからない)を、先生が上から下ろす瞬間、少しでも高くなりたくて背伸びをしていた。それを見たクラスメイトはクスクス笑っていた。私は、「シーッ」と人差し指を口元に置いていると「ズルしたらダメですよ」と先生。少し強めにゴツンとぶつけられては「いた〜い」と大げさに騒いで笑い合う。そんな騒ぎ合う声が、あちこちから聞こえていた。今思えば、先生たちは大変だっただろう。

健康診査はあまり好きではなかったけれど、その日は、新しい下着を買ってもらえるのが嬉しかった。
身長、体重、座高などは憂うつでも、視力検査だけは楽しみだった。視力には自信があって、2.0までくっきり見えたからだ。クラスメイトに「すご〜い」と言われるたび、「エッヘン」と胸を張っていた。

おそらく、昭和の私たちの頃と今とでは、測定の方法も、使う機械も、そして受け止め方もすっかり変わってしまったのだろう。

母の健康診査は、思いがけず、子どもの頃を懐かしむひとときとなった。