15年前のこと。体調を崩していた私は、思いがけず“低体温”という不安と向き合うことになった。

体温を測ると、体温計がエラー表示になった。壊れてしまったのかと思い、何度か繰り返し測ってみるとようやく、体温計が数字を表示した。34.1。数字を見た瞬間、胸の奥に冷たい恐怖が広がり、これからどうなるのだろうと立ち尽くした。

当時の私の平均体温は35度半ば。それでも低めだと思っていたのに、34度台になるとまるで体から灯りが消えていくように感じた。何冊か「体温を上げると健康になる」という内容の本を読み、必死に方法を探した。生姜を擦って紅茶に入れたり、近所を歩いてみたり。それでも思うように体調は戻らず、スーパーの冷蔵コーナーに立ち止まるだけで寒さに耐えられなくなった。

そんなとき、ふと「身体を温めるには養命酒がいい」ということを誰かが言っていたことを思い出した。藁をも掴む気持ちで、毎日飲み始める。最初のうちは何も変わらないように思えたが、二週間ほど経った頃、突然高熱を出した。驚きと不安で戸惑ったが、その後は37度前後を行き来しながら、やがて36度を超える日が訪れた。体温計に「36.1」と表示された瞬間、胸がふっと軽くなり、ようやく不安から解き放たれるような思いがした。

今では36.5度を保てるようになり、買い物中も冷気に悩まされることはない。あのときの日々を思い返すと、体の温かさがどれほど心の安心につながるのかを実感する。

その後、長野県駒ヶ根に行ったとき、たまたま通りかかった「養命酒の森」。迷わず立ち寄ることにした。木々に囲まれた静かな空間を歩いていると、かつて不安でいっぱいだった自分を思い出し、今こうして元気でいられることへの感謝が胸に満ちていった。あの森の緑は、私の心に“安心”という温もりを映し出してくれたのだ。感謝、感謝。


体を温めることは、心を温めることだった。