母の日にありがとうと言えること

幼少の頃の母の日の思い出といえば、色画用紙で作った『おてつだい券』。

数枚綴りになっていて、「肩たたき券」「皿洗い券」「お風呂洗い券」などと、カラーペンで書いた。

昔はあれが定番だった。今でも、子供たちはあのような手作り券を贈っているのだろうか?

あの頃、私は感謝ということの意味をよく理解できていなかった。

ただ、「お母さんありがとう」ということを言ったあと、母が嬉しそうな顔をするのを見て、

ああ、いいことをしたのだ。そうだそうだ感謝とはいいことなのだ。

と覚えていったような気がする。

いつからかだんだんと本当の感謝の意味がわかるようになった。

お弁当を作ってくれる

お稽古の送迎をしてくれる

手作りの服を作ってくれる

その想いに感謝だ。

数年前までは、母と同じ家に暮らしていながら

サプライズで喜ばせたかったから、母の日のプレゼントを宅配便で届けてもらうようにしていた。

母は、荷物を受けり、カーネーションなどのお花と共に「ありがとう」とメッセージが添えてあるのを見て涙ぐむ。

作戦成功!

そんなことを数年続けた。

今は、母が宅配便の荷物を受け取ることが容易ではないので、

夜ご飯にちょっと贅沢するなど作戦変更。

母は今まで通りにできないことが増えた。

時々、意味のわからないことを言ったりする。

以前にもまして小さくなった身体は今にも壊れてしまいそうだ。

高齢の方や、高齢者の介護をしている方に、

母の介護をしているという話をすると、「お母さん幾つ?」と聞かれることがある。

私は、「80代前半です」と答えると、

「まだ若いじゃない。私なんてもう90歳よ」

「まだ若いね、うちの母は85歳で元気だよ」

というような返事が返ってくる。

その度に、何かが胸に引っ掛かる。きっと、若い若い、まだまだ元気でいられるよという励ましのメッセージなんだと思うのだけど……。

他人と比べてはいけないとわかっていながら、ため息が出てしまう。

これまで、母との距離を感じて、うまくコミニュケーションを取れない時期もあった。

母に対して冷たい態度をとったこともある。

今思えば、母だって辛いこともあったのに頑張って毎日過ごしていたのだ。

冷たい態度をとってごめんなさい。

今年も、

「お母さんありがとう」

と声に出して伝えることができることに「ありがとう」と思う。