観覧車とあの頃のわたし
今度観覧車に乗る時はどんな景色が見えるだろうか。
子供の頃、観覧車は、どこか楽しい世界に連れて行ってくれそうに思えた。
遠くに見える大きな丸いかたちの観覧車を指差して親に乗りたいと、せがんだ思い出がある人は多いのではないだろうか。
観覧車は18世紀初め、ロシア帝国の貴族が遊具として使っていたものが原型だといわれている。人力でロープを引いて回していたらしい。
日本では、1906年に大阪・天王寺公園で行われた博覧会で初めて設置されたた。当時の観覧車は直径15メートルほどのものだった。
現在、日本で最も高い観覧車は大阪府吹田市にあるEXPOCITYの「OSAKA WHEEL」。その高さは123メートルにもなる。
子供の頃は、小さな観覧車でも大満足だった。
思春期になると、恋人とデートで二人きりの空間を楽しむようになる。
大人になると、周囲を一望できることに感激したり、穏やかな時間を味わったりもする。
観覧車は特別な乗り物。乗った分だけ、思い出が増えていく。
そういえば、子供の頃に行った百貨店の屋上には小さな観覧車があった。
あの頃、百貨店の屋上は私にとってのパラダイス。
今ではすっかり足を運ばなくなってしまったけれど、いま、あの場所はどうなっているのだろう。
ビアガーデンを開いているところもあるようだけれど……。
入り口の手前にはペットショップがあり、ハムスターや小鳥などの小動物がいたのを覚えている。
百貨店の屋上は、小さな遊園地のような空間で、観覧車のほかにも楽しい乗り物がいくつもあった。コインを入れると動く、動物の形をした乗り物があって、それに乗っている間は夢心地なのだ。
時間が来るとだんだんと動きが緩やかになる。そして遂に止まってしまう瞬間、たまらなく切なかった。
私が「あ〜あ、終わっちゃった」と大きなため息をついてつまらなそうな顔をすると、両親は私を見て笑っていた。
あの日が懐かしい。
最近では、ネモフィラの季節に茨城県にある国営ひたち海浜公園の観覧車「ブルーアイズ」に乗った。
高さ65メートルの、かわいらしい観覧車。
そこからは、見事に青く染まった景色を楽しんだ。
ひたち海浜公園では、4〜5月にかけてネモフィラが見事に咲き誇る。
青い花を咲かせるネモフィラは、ひと株でも存在感があるが、広大な敷地に群生する様子は圧巻。
まるで青の世界に入り込んだような気分を堪能できる。
実際に歩いてみると、園内は広く、かなりの距離を歩くことになる。クタクタに疲れた体で観覧車に乗り込み、青い景色を一望した。
そのときは、美しい景色に感動するよりも、椅子に座って息を整えることの方が先だった。
疲れた身体での、あっという間の一周。
観覧車は、いつのまにか休憩のための乗り物になっていた。