アイヌネギが届いた

北海道の知人からアイヌネギが届いた、春の恵み。

箱を開けた瞬間、立ちのぼったのは、にんにくにも似た、鼻をつくような強い香り。

ああ、これは……アイヌネギ、行者ニンニクだ。

知人のおすそ分けだという。

届いた箱を開けた瞬間、ふわっと強い香りが立ちのぼった。

中にはビニール袋がひとつ。そっと開けてみると、湿らせた新聞紙とアイヌネギが交互に何層にも重ねられていて、まるで緑のミルフィーユのようだった。

ひんやりとした新聞紙の感触、少し土の匂いを残した葉の束。

その丁寧な梱包に、思わず手が止まる。

「食べさせてやりたい」と思ってくれた人の気持ちが、その包み方から伝わってきた。

忙しい合間に、山へ入り、採って、洗って、重ねて……。

ただの食材じゃない。その一束に、時間と労力と、そして小さな愛が詰まっている。

今ではハウス栽培のものも出回っているけれど、山で採れた天然ものには、土の匂いと命の気配が宿っている。

「昔ほど簡単じゃないよ。今は熊が怖くて山に入れないんだよ」と知人は言う。

行者ニンニクには、「修行僧が山での厳しい修行の合間、こっそり口にして力をつけた」という由来があるらしい。

疲労回復や免疫力向上に効くとされる、まさに山のパワーフードだ。

修行中にこっそり、というエピソードは目に浮かぶようだ。

なんとも人間らしくて、私は好きだ。

さっそく卵とじにしてみた。

湯気とともに立ちのぼる、あの力強い香り。

癖はあるけど、一度好きになるとやみつきになる。

噛むほどに、山の味がする。

自然の恵みを、ありがたくいただく。

それは、山に入って採ってくれる人がいてこそ。

そして、自然の中で生きるということの、危うさと背中合わせでもある。

美味しいものをいただくと、つい嬉しくて無邪気になる。

けれどその背景には、熊の気配、気候の変化、森の奥の静けさといった、目に見えないものがひっそりとある。

「自然とともに生きる」とは、どういうことだろう。

口の中に残るアイヌネギの風味を味わいながら、ふとそんなことを考えた。