静岡県袋井市の直売所で見つけたコメロン。

初夏の風を感じるようになると、メロンの季節が始まる。表皮がつるんとしたノーネット系といわれる品種、マスクメロンなどで馴染みのある網目があるネット系品種。果肉の色がオレンジ、赤、白と種類が分かれる。メロンは、現在約30品種があるそうだ。

メロンは贅沢なイメージがあり、子供の頃はメロンを食べる日はほんのちょっと特別の日だった。

メロンと聞くだけで口の中に唾液が溜まってしまう。

メロンを食べているときの家族はみんな笑顔になる。

最後に皿の上に残った果汁。いわゆるメロンジュースは、私がいただく。小さな音を立てながら、皿の果汁をすすっていた私を見て、家族が“ああ、またやってる”と笑った。メロンは、食べる前も食べた後も、家族を笑顔にしてくれた。

日本で最も高級なメロンといわれているのは、静岡県袋井市のクラウンメロン。静岡県温室農業協同組合袋井支所の生産者さんが作るマスクメロンのブランド名。限られた生産者だけがクラウンメロンを出荷することを許されているこだわりのメロン。

等級は、富士・山・白・雪に分かれている。S・M・Lで分かれていないところが粋だ。

メロンは、一般的に一つの株から4~8個の実をつけるといわれている。マスクメロンは、一本に3個。袋井のクラウンメロンは、一本の木から一つのメロンしか収穫しない一木一果という方法で栽培。出荷できる数が多いほど収入も増えると考えてしまうところだけど、ここでは、あえて数を減らしてひとつの果に情熱を込めている。

数ではなく品質なのだ。

栽培にこだわり、品質を守るために日々努力を惜しまず、あえて大変な作業を率先して行なっているからこそ、日本一の高級メロンを作る産地であり続けている。

一玉に、一本の木全体の栄養が凝縮されることで、甘くとろけるような食感になる。

まだ小さな実のうちから最も良い実を選んで残す。この見極めが生産者さんの腕の見せ所。

選ばれなかった小さな実が、コメロン。

とうもろこしでいうころのヤングコーンかな。あえて作るものではなく、栽培の途中で生まれる小さな落とし物。

小さな実だから“小メロン”なのか、“子メロン”なのかは定かでないけれど……。

コメロンは量が少なく、直売所でたまに出会える、まさにメロン産地ならではのごほうびだ。いつも手に入るとは限らない。

地元の農家さんに、薄く皮を向いて漬物にするといいと教えてもらった。

コメロンは、ほんのわずかだけどメロンの甘味がある、皮を剥いてそのまま食べても食感が良く美味しい。

小さいながらにもやっぱりメロンだ。しかもクラウンメロンだ。小さいけれど、大きな幸せを運んでくれるコメロン。皿の上に残った果汁のような、ちょっと特別なごほうび。

さて、今年もがんばって働いて、大きな一玉に出会える日を楽しみにしよう。

コメロン